対談 CROSS TALK
認定看護師×認定看護師
認定看護師として
高齢者疾患の対応を牽引する
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畑中 英子
摂食・嚥下障害
看護認定看護師 -
市川 基子
認知症
看護認定看護師
TALK
THEME 01
[テーマ]
患者さんの高齢化とともに
サポート体制も変化
市川
私の専門は認知症で、畑中さんの専門は摂食・嚥下になりますので、基本的には別々に動いていますが、お互い困ったことはすぐ相談できる距離感ですよね。
畑中
高齢者や認知症の患者さんもたくさんいますので、認知症で困ったら「市川さん!」という感じで、いつも頼りにしています。とても身近な存在です。
市川
今、外来も入院も全体的に患者さんの高齢化が進んでいますよね。認知症も増えてきていて。
最近では、1人の看護師が1人の患者さんを対応するというよりも、各専門の看護師がそれぞれの面でサポートすることが主流となってきたかなと思います。
畑中
その変化は大きいですよね。主治医も自分1人で判断するというよりも、ご家族の意見、多職種の看護師の意見を聞いてくれるようになったので、高齢患者さんにとってもより良いことですね。高齢者はこれからもっと増えていくと思うので、西尾市民病院自体が地域に対して門を広げてどんどん対応していけると良いですね。
市川
私たちスタッフの調整で、患者さん本人の想いに沿った退院ができるとうれしいですからね。退院支援は自分ひとりでは難しいことがたくさんあるので、専門知識のあるスタッフと連携することでよりスムーズな支援に繋げていきたいです。
TALK
THEME 02
[テーマ]
一人ひとり意見を尊重しながら
同じ方向を見る
畑中
以前は多職種が絡むと意見がぶつかったりしていたけど、徐々に各専門職の看護師が増えていき、そのメリットが先生方にも伝わってきたのかな。今では連携することが自然な流れになってきたと思います。
市川
私が所属している認知症サポートチームは、医師と臨床心理士、認定看護師、医療ソーシャルワーカーがコアメンバーですね。あとは、作業療法士、薬剤師、言語聴覚士が入って10名近いメンバーになります。最初の最初は4名でスタートして、少しずつ増えていき、今のようなチームとしての活動になっていきましたね。
畑中
それぞれ違う看護観を持ってケアしているので、きちんと情報共有して皆で同じ方向を見ることが大事ですね。
市川
ただ、どこまでいっても患者さんとご家族が中心ですので、そこはブレないように。自分たちの想いだけを押し付けないように、ということは私自身気を付けていますね。
畑中
結果として、食事ができなかった患者さんができるようになったとき、元気が出て大声も出すことができるようになると「認定看護師で良かった」とやりがいを感じられます。
市川
そうですね。これからは若い人の発想力や想像力、今の時代の考え方、もちろんベテラン看護師さんの考え方含めて、融合されたケアをしていくことができれば、多方向から高齢者疾患への対応がもっと広がっていくと思います。それができるのは現場スタッフでありチームですね。本当にやりがいのある職種だなと思います。
TALK
THEME 03
[テーマ]
認定看護師の立場から
高齢者疾患へ取り組む
市川
先日、高齢者の学会と認知症の学会の2件続けて参加したとき、数年前の内容と変化を感じました。以前は認知症ケアの方法論や環境の調整などに焦点が当てられていたという印象でしたが、今は意思支援や権利擁護、スピリチュアルケアとか、そういうものに移行してきていましたね。
畑中
患者さんの意思の支援、想いの支援が大事な時代になってきたんですね。
市川
認知症の患者さんは想いを汲みとることが難しいですが、患者さんの想いがどこにあるか、そこからケアを発展させていかないといけないなと思います。お家に帰りたい方もいれば、そうでない方もいるので、患者さんの想いをチームみんなで共有して、そこから目標を決めることですね。
畑中
私たち認定看護師は積極的に学会に参加して、最新の情報を得ることも大切な役割です。看護協会からくる毎月のニュース(新聞)や世の中のいろいろな月刊誌など、目を通してアンテナを張るようにしています。患者さんに安全で安心して生活できる場所を提供するということが看護の根本だと思っているから、そこを崩さずに時代の流れに乗っていかないと。
市川
病院としても学会参加を推奨してくれていますからね。認定看護師は世の中の流れを知って、スタッフにしっかり伝えていきたいと思います。