News

新着情報

新着情報詳細

病院通信2021年07月号 [特集] 今こそ、コロナと向き合おう

2021.06.28

発生から1年以上たった現在も、いまだ世界中で猛威を振るい続ける新型コロナウイルス感染症。ワクチン接種が進められていますが、多くの方の接種が完了するまでには、まだまだ時間がかかります。収束へ向けた道筋が少しずつ見え始めた今こそ、コロナと向き合う必要があります。

「第3波」「第4波」で感染者が急増「困難に立ち向かう医療スタッフ」

西尾市では、2年4月4日に初めて新型コロナウイルスの感染者が発生しました。それから1年余りで1,000人近い新規感染者が発生。「第3波」の2年11月からの3か月間と、感染力が強い変異株がまん延した「第4波」の今年4月以降に、感染者が急増しています。感染患者を受け入れている市民病院では、医師や看護師などの医療スタッフが懸命にウイルスと闘っています。

西尾市の感染症患者発生状況

西尾市は、人口10万人当たりの新型コロナウイルスの感染者数(感染率)が西三河地域で上位。特に、若年層の間で感染が広がっています。救急外来で市民病院に運ばれてきた感染患者の中には「会食した」「久しぶりに遠方の家族に会った」という方たちも。「コロナ慣れ」して感染しやすい行動をとってしまう方が増えているのかもしれません。

感染患者が入院できないことも

中程度の症状の患者を受け入れる2次救急病院である市民病院では、新型コロナウイルス感染症の流行当初、軽症から中等症の感染患者を受け入れていました。しかし、重篤な患者を受け入れていた近隣病院の病床が逼ひっ迫ぱくしてきたため、現在は重症患者の一部を受け入れています。一度入院すると退院まで早くても2週間ほどかかることもあり、市民病院の病床も逼迫。日によっては救急外来に運ばれてきた患者が入院できなかったり、重症化しても転院先が見つからなかったりすることも。現場で働くスタッフは、日々変わる状況の対応に追われています。

普段と違う状況の中で看護に集中

新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れている市民病院の6階東病棟は、院内感染の予防策がとられ、他の病棟とはまるで別世界のようです。医師や看護師は医療用マスクや帽子、エプロン、フェイスシールド、ゴーグルなどを装着し、接する患者が変わるごとに交換しています。「毎日が必死」。6階東病棟で勤務する髙田絢看護師は、汗だくになるほどの慌ただしい日々を送っています。「酸素濃度や心電図モニター、点滴の投与状態を確認して少しの変化も見逃さないようにしている。医療用マスクやフェイスシールドを装着していて、互いの声が聞こえづらいから、患者さんの表情の変化にも注意している」と髙田看護師。また、医師と看護師以外は病棟に入れないため、病室の清掃はもちろん、病棟全体の清掃・環境整備、シーツの交換など、看護以外の業務も看護師が担っており、普段以上に心身への負担がかかるとのこと。難しい状況の中でも、一人一人をしっかり看護することに集中しています。

入院中の生活

入院中の新型コロナウイルスの感 染患者は、病室の外に一切出られません。家族にも会えず、テレビを見 るなどして病室で過ごしています。「『早く帰りたい』『家族が心配だ』と不安を口にする患者さんが増えている。何か困ったことがないかとか、常に声を掛けてストレスを減らすようにしている」と髙田看護師。高齢の患者には、筋力低下を防ぐためにラジオ体操を勧めるなど、患者の症状に合わせて対応しています。

西尾も例外ではない

「今、世界中、日本中で起きている危機的な状況は、西尾も例外ではない。『自分は大丈夫』と思わず、いつ、どこで感染してもおかしくないと強く認識してほしい」と、真剣な表情で訴える髙田看護師。一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束を信じて、今日も患者と共にコロナ と闘っています。

感染症収束の鍵、ワクチン接種

西尾市では4月に高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種が始まり、7月中旬以降は64歳以下の方の接種も順次始まります。接種が進んだ一部の国では、マスクを着用せずに外出できるようになるなど、感染症収束の「鍵」となるワクチン。医療従事者として実際に接種した医師に、副反応などの状況を聞きました。ワクチン接種後に現れる副反応は人それぞれ」と語るのは、市民病院の内分泌内科医長である川久保充裕医師です。医療従事者である川久保医師は、すでにワクチンを2回接種しています。

焦らずに順番が来たら接種を

川久保医師によると、ワクチン接 種後は筋肉痛や倦怠感を感じたり、2回目の接種後に免疫反応によって発熱したりすることがあるそうです。しかし、無症状の場合もあり「過度に心配する必要はない」と語ります。また、ワクチンは西尾市にも十分な量が供給されるため「焦らずに、自分が打てる順番が来たら接種を」と語ります。

接種後も感染予防が必要

「ワクチンは接種すれば感染をしなくなる万能薬ではない。重症化の予防策として自分を守る一つの方法と捉え、気を緩めずに今まで通りの感染予防を続けることが必要」とも語る川久保医師。ワクチンの接種後も「コロナにならない・させない・広げない」ための行動が重要です。「自分だけでなく、大切な人を守 るために、3密を回避するなどして感染を予防してほしい。でも、注意していても感染してしまう人はいる。なった人を責めてはいけない。私たちが闘っているのはコロナウイルス。それを忘れてはいけない」と、川久保医師は西尾市民一丸となって危機 を乗り越えようと呼び掛けています。

今こそ、コロナと向き合おう(広報にしお 2021年07月号)