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当院のご紹介

院長あいさつ

禰宜田 政隆画像

Message 禍の先

 2023年度を迎えるにあたり、西尾市民病院院長として改めてご挨拶申し上げます。

 過去3年以上にわたり、世界中が新型コロナウイルスという未曽有の危機に襲われ、当院もその対応に振り回されてまいりました。特に第7,8波では重症化率は低かったものの猛烈な患者数となり、取り分け第8波の本年1月においては、当院も多くのクラスターを出すこととなり幾度にもわたる診療制限を余儀なくされ、業績も大きく落ち込みました。

 この3年間でリモートワークやリモート会議などは発展しましたが、対面での交流の機会などは大きく減少して一部ではやや歪とも言える社会が形成され、物事に対する人々の意識も変わり、退職・転職に対するハードルも下がった様に思います。

 定年延長、働き方改革など、就労環境も見直されつつありますが、ICT導入などによる業務効率化、時短勤務など、時代に即した働き方、雇用条件を提示していかなければならなくなりました。しかし、特に医療においては割愛できない業務も多く、基本的には仕事量を大きく減らすことは困難です。

 今まで日本の医療は、良きにつけ悪しきにつけ、医療者の自己犠牲とも言える献身的な働きぶりによって支えられてきた面があり、また、それによって対応の遅れを減らし、患者側との信頼関係を築いてきたとも言えますが、非効率性が否めない部分は確かにありました。少子超高齢社会を迎え、働き方改革を進めることを強いられている以上、培ってきた過去の教えに照らせば多少歪な形になっても、それを進めていかなければなりません。

 献身的に勤務してきた職員からすれば、納得できない部分も多々あるとは思いますが、コロナ禍を経ても国はこの方針を変える様子はみられません。

 この機会を可及的医療の質を落とさずに非効率的な働き方を見直す一つのチャンスと捉え、改革にご協力いただければと思います。

 その他にも今年度は、放射線治療装置更新、病床削減及び病棟改修、訪問看護ステーションの設置準備、西尾市制70周年記念事業など、アフターコロナを見据えての事業展開も多々予定、或いは検討されております。

 これも今回のコロナ禍などから、自地域は基本的には自身で守らざるをえず、普段から他地域に多くを依存することは危険であると痛感させられたことが、一つにはあると思います。当院は二次救急病院であり、ほぼ全ての疾患に対応することは物理的にも効率的にも無理がありますが、非常時には他地域や他院、他組織には頼れないことを今回痛感させられた以上、自地域の医療が切り捨てられない様にするためには現在の医療圏単位の括りでは不十分で、自院がカバーしなければならないエリアを考慮し、そこに必要とされる医療を可及的自院で提供できる「自院地域完結力」を高めてゆかねばなりません。医療の自給自足を念頭に、しかし効率性も考慮して、平時に於いては必要に応じて多少離れた地域の他医療機関とも連携して、自地域に求められる医療を提供できる体制を可及的整備し、身の丈に合った医療を提供してまいりたいと思います。

 当院は上記以外にも多くの課題を抱えており、それらも克服してゆかねばなりませんが、それらが解決できない根本的な問題は人員不足、特に医師不足にあります。しかし、遠くない将来、医師過剰時代が来るとも言われており、一部に於いては、地域・診療科偏在解消への動きも漸く多少みられるようになりました。しかし、まだ暫くの間、地方の中小病院にとっては厳しい時代が続くと思われます。地域の皆様方には今しばらく、ご迷惑・ご不便をおかけいたしますが、今後もより皆様に愛され、必要とされる病院を目指してまいりますので、何卒ご理解、ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

令和5年4月1日 西尾市民病院 院長 禰宜田 政隆