About
当院のご紹介
院長あいさつ
Message パンデミックを経験した視点の変更
2022年度を迎えるにあたり、西尾市民病院院長として改めてご挨拶申し上げます。
過去2年以上にわたり、世界中が新型コロナウイルスという未曽有の危機に襲われ、当院もその対応に振り回されて参りました。特に第6波では猛烈な患者数となりましたが、幸い昨年度は医師数の増加や補助金などのお陰もあって、一昨年度より業績はかなり改善していましたが、看護師不足で頭打ちとなり、また、年度末に新型コロナウイルスによる多少の院内感染を生じてしまい、最後は失速して予想した程の業績を収めることはできませんでした。
年度が明け今年度は、多くの部署で人事が一新され、新たなスタートを切る感が強い年度となりました。新型コロナウイルス以外にも、病院の老朽化、非稼働病棟、医師はじめスタッフの確保、働き方改革、地域医療構想、新専門医制度、2025年及び2040年問題など難題山積ではありますが、懸案事項となっていた放射線治療装置の更新は、昨年度後半に急遽、高機能装置の購入が決定し、今年度後半に入れ替え工事が行われることとなりました。
これも今回のコロナ禍などから、自地域は基本的には自身で守らざるをえず、普段から他地域に多くを依存することは危険であると痛感させられたことが、一つにはあると思います。当院は二次救急病院であり、ほぼ全ての疾患に対応することは物理的にも効率的にも無理があり、地域医療構想にも一見反するようにも見えます。しかし、非常時には他地域や他院、他組織には頼れないことを今回痛感させられた以上、自地域の医療が切り捨てられない様にするためには現在の医療圏単位の括りでは不十分で、実際、自院がカバーしなければならないエリアを考慮し、そこに必要とされる医療を可及的自院で供給できる自地域完結力を高めてゆかねばなりません。医療の自給自足を念頭に、地域に求められる医療を提供できる体力を身に着け、柔軟に身の丈に合った医療を提供してまいりたいと思います。
マンパワー不足を補い記入漏れや誤診を減らし効率性を上げるべく、AI問診も昨年度末から導入し、同時期に無線アクセスポイントも更新して、情報化社会に対応してwi-fiなど無線環境も改善させ、利便性も高めました。
今回のコロナ禍では保健所管轄区域単位での自地域完結を求められたため、以前から一部で指摘され、当院も訴えていた事ではありますが、西三河南部西圏域の中でも特に南部地域の西尾市の医療資源不足が露呈されることとなりました。危惧はされていたものの、この様な政策が今回ほとんど初めて実際にとられたため、災害時も見据えて西尾市の医療資源不足を解消することが、喫緊の課題となりました。従来の方針には多少反しますが、圏域全体の医療を守るためにも圏域内南部地域の医療環境を改善させる必要があり、それに向けて尽力してゆく予定です。
効率性に固執してきた国としても今回の件で、地方医療の在り方を再考する必要性が生じたと思われますし、遠くない将来、医師過剰時代が来るとも言われており、地域・診療科偏在解消への動きも漸く多少みられるようになりました。しかし、まだ暫くの間、地方の中小病院にとっては厳しい時代が続くと思われます。地域の皆様方には今しばらく、ご迷惑・ご不便をおかけいたしますが、今後もより皆様に愛され、必要とされる病院を目指して参りますので、何とぞご理解、ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
令和4年4月1日
西尾市民病院 院長