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病院改革
西尾市民病院の現状
西尾市民病院の現状
西尾市民病院は、平成2年に現在の地に移転新築し、本年度で34年を経過しました。
西尾市民17万人の命を守る地域の中核病院として、急性期医療と急性期を脱した患者さんの在宅に向けた医療を提供していく役割を担うとともに、地域の開業医と連携して、地域完結型医療に取り組んでいます。
現在の経営状況は、下表のとおりで、深刻な医師不足や近隣の同規模病院との競合などを背景に、平成11年度から実質的には24年連続で赤字となっています。一方、救急搬送患者数は年間約4千件を受け入れており、救急医療体制の維持は、地域に不可欠と考えています。
こうした状況下、市民病院は経営健全化に向けて、西尾市民病院改革プランを平成28年度末に策定しました。現在、各取り組みの実施と目標値の達成に向けて、職員一丸となって取り組んでいます。
経営状況の推移
- 1.医業収益とは、入院診療収入、外来診療収入、室料差額収入など、医療を行うことにより得ることのできる収益。
- 2.医業費用とは、人件費、材料費、(薬品費・診療材料費・給食材料費)、委託費、その他経費など医療を行うのに必要な費用。
- 3.純損益とは、医療収益に医業外収益、(市からの繰入金や国県補助金等)を加えた総収益から医業費用に医業外費用(支払利息および企業債取扱諸費等)等を加えた総費用を差し引いた病院事業全体の収支。なお、平成28年度が黒字となっているのは、国の診療報酬改定等に伴う急激な収益悪化対応のため、市の一般的会計から9億円に及ぶ繰り出しを得たことによるもので、実質的には赤字の状況にあった。
- 4.令和2年4月から研修医を正規職員として取り扱うことに変更。
市民病院が抱える課題
1. 深刻な医師不足
医師の地域偏在・診療科偏在により、全国的に医師が不足しています。
当院においても例外ではなく、経営悪化の主要因となっています。
定年や起業などで退職した医師の補充がなかなか進まず、関連する大学医局に粘り強く派遣を要請しています。
(診療制限)医師不足により、産婦人科、小児科、神経内科、血液内科、泌尿器科では、やむを得ず診療制限を行っています。
対策
- 大学医局や愛知県に出向き、医師の派遣要望を行う。
- 医師確保に医師紹介会社を活用する。
- 医師確保奨学金貸与制度により研修医を確保する。
2. 入院患者数の減少
医師不足や近隣病院との競合などにより、近年、入院患者数は、減少傾向にあります。特に令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、患者数が大幅に減少しました。
対策
- 開業医との連携を深め、紹介件数の向上を図る。
- 救急患者の受け入れを強化する。
3. 施設・設備の老朽化
平成2年に現在地へ移転しましたが、病院は31年を経過し、設備の老朽化が進んでいます。医療機器は、安全性を担保しつつ、長期稼働を方針としているため、中には耐用年数を超過したものもあります。
対策
- 地方債を活用する。
- 投資は収益性や経営状況を踏まえて、選択と集中を図る。
4. 市からの繰出金の増加
現在、市民病院を運営していくためには、市の一般会計からの繰出金(税金の投入)が不可欠な状況です。
市民一人当たりに換算すると、年間約1万円から1万5千円となっています。新型コロナウイルス感染症に伴う減収や、近隣の大規模病院開設の影響を受けて、赤字補てん的性質の繰出金は必要不可欠となっています。
対策
- 国や県からの補助制度を活用することにより、繰入金総額の抑制に努める。