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病院通信2019年05月号 溶連菌感染症について

2019.05.16

 A群溶連菌による咽頭炎・扁桃炎では、ウイルス性咽頭炎・扁桃炎に比べて急激に発症し、高熱、発疹、喉の痛みや腫れ・発赤、首のリンパ節の腫れなどが強く現れます。咽頭の細菌培養や咽頭ぬぐい液での迅速診断で陽性であれば、診断が確定します。

 溶連菌感染症の治療では、基本的にペニシリン系の抗生剤を十日間内服します。治療が不十分な場合には急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症を稀に起こすことがありますので、処方された抗生剤はすべて内服してください。溶連菌感染症患者と接触し、A群溶連菌の感染が疑われる場合には、細菌培養・抗原検査を行い、陽性であれば、抗生剤の内服をする必要があります。

 無症状の保菌者への対処方法には議論が多いのですが、他人へ菌の拡散や、糸球体腎炎などの合併症の危険は低いとされています。地域で溶連菌性咽頭炎が流行している場合、適切な治療にもかかわらず複数回の感染を繰り返す場合などの特別な状況がなければ、除菌目的で抗生剤の内服をする必要はありません。

  小児科部長  岩瀬 一弘