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病院通信2018年08月号 ②腸閉塞について
2018.08.16
腸閉塞は文字通り腸が詰まってしまって食べ物や腸液が上流にたまっておなかが張って痛みを覚えます。排ガスや排便は停止します。多くは、腹部外科手術後に(外科に限らず、産婦人科手術であったり泌尿器科手術後でも起こりえます)起こる癒着が原因です。この癒着性の腸閉塞は数日間の絶食が主体の治療で治ることが多いです。どうしても直らない場合は外科手術が必要になることもあります。
小腸および小腸を栄養する腸間膜がねじれてしまって起こる腸閉塞を絞扼性の腸閉塞といいます。こちらは小腸の血流障害を起こして小腸が腐ってしまい腹膜炎になる可能性が高いので緊急で手術が必要となります。
とくに器質的な閉塞をみとめずに腸閉塞の状態となっているものを麻痺性の腸閉塞と言います。重度の腹部の炎症(腹膜炎、膵炎や虫垂炎など)が起きている場合、腸がびっくりして動かなくなります。腸が動かないので結果的には閉塞しているのと同じ状態になってしまうわけです。外科手術の適応ではなく絶食で原因の治療を行います。
最後に、血管の痛んだ人になりやすいNOMIという腸閉塞をご紹介いたします。こちらは腸管を栄養する動脈が攣縮してしまうことによって相対的に腸への血流が低下することによりまだらに腸の虚血をおこす病態です。攣縮の程度により虚血の具合は様々なのであまり強い腹痛や腹満を認めないこともあります。しかし重度であればやはり腸が腐ってしまうこともあり、その場合は手術が必要となります。十分に点滴を行い、薬物投与を行うことが治療の第一となります。
以上、腸閉塞の紹介になりました。腹痛・腹満を認めたらまずは病院を受診してください。
外科 加藤 吉康