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病院通信2022年10月号 誰もがなりうる「認知症と向き合う」

2022.10.03

「最後まで自分らしくいたい」。その願いをはばむ原因の一つとなる認知症。いつ、誰にでも起こりうる症状だからこそ、正しく理解して受け止めることが必要なのです。

認知症とは

 認知症は、さまざまな原因で脳の働きが悪くなり、記憶や判断力などが低下する「脳の病気」です。認知症になると、自分の行動を忘れてしまったり、物忘れの自覚がなくなったりするなど、日常生活に支障が出ます。3年後には、65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。
 認知症に気付かなかったり、放置したりすると、症状は悪化し、家族などに迷惑を掛けることもあります。しかし、認知症は早期に治療をすれば、症状を抑えれることもある病気です。
誰でもなりうる病気だらかこそ、日常の気付きと早期の対応が大切です。

外来のススメ

 「認知機能の低下は自覚がないことが多く、家族でも注意していないと気付きにくい。気になる症状があったら早めに受診してほしい」と語るのは、脳神経内科の櫻澤誠医師です。
 受診するタイミングは主に2つ。自分や家族が心配になり受診するときと、運転免許証の更新時です。その多くは性別に関係なく、70~80代の高齢者ですが、若年層でも起こりうるため、日々の生活の中での変化を見過ごさないことが必要です。市民病院では認知症の診療の際に診察、頭部MRI」と脳血流検査による画像検査、血液検査を行い、総合的に診断しています。

早期治療のススメ

 認知症には根本的な治療が難しいものと、治療可能なものがあります。アルツハイマー型認知症のように脳の変性によるものの治療は難しいですが、ビタミン欠乏やホルモン異常、慢性硬膜下血種などが原因で起こる症状であれば、
薬や手術によって治せる可能性があります。「治療可能な認知症を見逃さずに早期に治療したい」と語る櫻澤医師。
脳神経内科では物忘れだけでなく、怒りっぽくなったり、妄想が出てきたりした場合などには、精神科と連携し、症状に合わせた対応をしています。
 「認証の症状は多岐に渡り、薬の治療だけでは難しいこともある。本人や支えてくれる家族の暮らしに合う治療ができるよう、一緒に考えていきたい」と櫻澤医師。「日常生活での悩みは人それぞれ。市民病院の認知症看護認定看護師に相談したり、デイサービスのヘルパーに頼んだりするなど、事情に合わせて対処法を考えることが大切。」治せる症状を見落とさず、少しでも症状の進行を遅らせるためにも、早めの治療が必要です。

気になったら相談を

 認知症は意識していないと気が付きにくく、家族も気づかないうちに進行していいまうことがよくあります。
それでも、正しい知識と対処法を理解すれば、本人も支える人も不安を抱えず、安心して
生活できます。「年だからこんなもの」と思わず、ささいなことも家族や医師に相談し、早期発見と治療
を始めましょう。。

市民病院のいま(広報にしお 2022年10月号)